2.アユモドキが亀岡で生き残ったのはなぜ?
アユモドキが産卵・繁殖するには、川の増水などによって一時的に水びたしになるような環境(一時的水域)が必要です。曽我谷川では、農業ダムが立ち上げられ、その上流にできる一時的水域で親魚が卵を産みます。生まれた仔魚は、田んぼから流れ出るプランクトンを餌に大きくなり、仔魚から稚魚に成長する頃には水路を上りさらに成長します。夏から秋を過ぎ冬が近づくと、湧水のある桂川に下って冬を越します。アユモドキが一年を通して生息できる異なった環境がそろっていて、アユモドキの環境に配慮した農業が営まれ、アユモドキを大切に守りともに暮らす文化がこの地域に長く根付いてきたからこそ、亀岡にアユモドキが生き残ったと言えます。
アユモドキが産卵できる環境がある
曽我谷川にはゴム製の農業ダムがあります。水田に水を引くためダムを起き上がらせると、川が堰き止められ上流の水位が急上昇します。ダムが起き上がる前
ダムが起き上がった後
一時的水域ができる様子
ダムが起き上がると上流の水位が急上昇して、一時的水域ができます。アユモドキの産卵場になります。
ダムが起き上がる前の上流(写真は3月末)
ダムが起き上がった後にできる一時的水域
生まれた稚魚が育つ環境
水田からはアユモドキの餌になるプランクトンが水路を通じて流れ出ます。生まれた稚魚は、プランクトンを餌に大きくなり、成長するにつれて水路や河川にも生息場所を広げていきます。越冬場所と行き来できる環境
曽我谷川が流れ出る桂川には湧水や伏流水が流れ出る場所があり、アユモドキが冬を越し、春には再び曽我谷川に遡ります。
桂川の護岸とアユモドキの様子